タイトル 空虚人と苦薔薇の物語
刊行日 2014年10月
著者 ルネ ドーマル (著) 巖谷 國士 (翻訳) 建石修志(絵)
定価 2000円+税
ISBN 978-4892193866
Cコード 0097
ページ数 40ページ
判型 A5
製本 上製
  • 内容

    双生児の少年モーとホー、高山の頂にある
    大いなる智慧を与えるという伝説の苦薔薇を探しに……

    熱狂的ファンの多い、ルネ・ドーマルの未完の小説『類推の山』。
    小説中に高山の伝説として語られる、話中話「空虚人と苦薔薇の物語」を抜き出し
    幻想画家・建石修志の挿画を得て一冊にした、瀟洒なビジュアルブック!
    「遠い昔の学生時代に原語で読んで、もっとも感銘をうけた書物のひとつである。私は20代の前半に、この本の試訳を部分的にはじめていた。すこぶる単純かつ透明でありながら謎めいていて、神話とも寓話とも感じられるこの架空の伝説を、私は一種のメルヘンに見立て、御伽話の語り文体で訳すことにした」(巖谷國士「あとがき」)

  • 著者紹介

    ルネ・ドーマル(René Daumal)1908-44
    フランスの詩人・作家・インド学者。両大戦間のパリで前衛グループ〈大いなる賭け〉を創立。シュルレアリスムに共感しながら運動には加わらず、独自の詩的・形而上的探究をつらぬいた。結核により36歳で早世。詩集『反=天空』(1936)、小説『大いなる酒宴』(1936/谷口亜沙子訳、風濤社、2013)などがあるが、代表作は本書の物語をふくむ未完の小説『類推の山』(1952/巖谷國士訳、河出文庫、1996)である。

    巖谷國士(いわや・くにお)
    1943年東京都生まれ。東京大学仏文科卒、同大学院修了。学生時代に瀧口修造や澁澤龍彥と出会い、シュルレアリスムの研究と実践を開始。仏文学者・評論家・旅行家・メルヘン作家、明治学院大学名誉教授。主な著訳書に『シュルレアリスムとは何か』『ヨーロッパの不思議な町』(筑摩書房)、『封印された星』『〈遊ぶ〉シュルレアリスム』『森と芸術』(平凡社)、『幻想植物園』(PHP研究所)、ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』『ナジャ』(岩波文庫)、ドーマル『類推の山』(河出文庫)、『スコープ少年の不思議な旅』(風濤社)など。

    建石修志(たていし・しゅうじ)
    1949年東京都生まれ。東京藝術大学工芸科VD専攻卒。卒業後作家中井英夫との仕事をはじめ、内外の幻想文学の装丁、挿画を数多く手がける。鉛筆、混合技法、ボックスコラージュ作品等個展、企画展の出品多数。画集に『凍結するアリスたちの日々に』(深夜叢書社)、『変形譚』(沖積舎)、『標本箱の少年』(ペヨトル工房)、『Leaf/Poetry』(青木画廊)、絵本に『もりでみつけたおともだち』(偕成社)、『月』『浮揚譚』(パロル舎)、『幸福の王子』(バジリコ)、技法書に『鉛筆で描く』(美術出版社)など。